今回は「Chromebook Plus」についての記事です。
今年本格的に始動したChromebook Plusは現在Chromebook主要メーカー各社から発売されていて、アマゾンでも購入できる状況になりました。
ところが、Chromebook Plusを名乗るには明確な要件があり、これをクリアするとなるとどうしても似たり寄ったりのスペックの機種になりがちです。まだ要件をクリアできるCPUが少ないことが原因ですが、主要スペック以外の細やかな点に目を向けると意外と違いがあることに気づきます。
Chromebook Plusがある程度出揃ってきたので、今回は現在販売されているChromebook Plusについての情報を比較しながらまとめておきたいと思います。
Chromebook Plusが欲しいけどどれがいいのか迷っている方、必見です。
Chromebook Plusの要件
今一度、Chromebook Plusの要件をおさらいすると以下の通りです。GoogleがAcer、ASUS、HP、Lenovoと協議を重ねて策定したものです。
- CPU: Intel Core i3 12th Gen以上、またはAMD Ryzen 3 7000シリーズ以上
- RAM: 8GB+
- ストレージ: 128GB+
- ウェブカメラ: 1080p+ ノイズリダクション機能
- ディスプレイ: フルHD IPS 以上
そして現在販売されているChromebook Plusは
- Acer Chromebook Plus 514
- ASUS Chromebook CX34
- ASUS Chromebook plus CM34 Flip
- Lenovo Chromebook Plus IdeaPad Slim 3i Gen8
- HP Chromebook Plus 14a
- HP Chromebook Plus x360 14
その他、日本では未発売の「Samsung Chromebook Plus」が控えていますが、発売されるかどうかも不明なので今回は除外しています。15.6インチでAMOLED搭載、しかも軽量とかなり期待できるモデルなのでぜひ発売してもらいたいところ。
アマゾンには「Samsung Chromebook Plus V2」という商品がありますが、メモリがDDR3-2666だったりとかなり怪しい。公式サイトの「Samsung Chromebook Plus」とも異なっているので、ガセだと思います。
Chromebook Plus それぞれの主要スペックを比較
それぞれの機種のスペックは以下の通り。
モデル | CPU | ストレージ | 参考価格(2024.11.21) |
---|---|---|---|
Acer Chromebook plus 514 | Intel Core i3 N305/Ryzen 3 7320U | 512GB/128GB | ¥69,100/¥73,329 |
ASUS Chromebook plus CX34 | Intel Core i3-1215U/Core Ultra 5 115U | 128GB | ¥68,000/¥140,727 |
ASUS Chromebook plus CM34 Flip | AMD Ryzen 7320C/7520C | 128GB | ¥74,800/¥86,182 |
Lenovo Chromebook Plus IdeaPad Slim 3i Gen8 | Intel Core i3 N305 | 128GB | ¥76,420 |
HP Chromebook Plus 14a | Intel Core i3 N305 | 256GB | ¥98,271 |
HP Chromebook Plus x360 14 | Intel Core i3 N305 | 256GB | ¥110,000 |
ASUSはいち早くChromebook Plusを発売したので「Intel Core i3-1215U」が採用されていますが、現時点におけるスタンダードは「Intel Core i3 N305」です。性能はIntel Core i3-1215Uの方が若干上ですが、ベンチマークでは10%の違いもないので体感できる差はないと思います。メモリ周りやPCI周りに微弱な違いがありますが、同じく体感できるレベルではないと思います。
AMD RyzenについてはASUS Chromebook plus CM34 Flip、およびAcer Chromebook plus 514のバリエーションとして採用されています。N305搭載機よりも価格の高めなRyzenモデルを敢えて選ぶ理由はなさそうに見えますが、メリットはバッテリ持続時間が長めな点。詳しくは後述します。
RAMについてはすべての機種で8GB( LPDDR5)となっています。周波数は微妙に違いますが(4800がベースで一部モデルでは5500など)、体感できるレベルでもなさそうです。
ASUS Chromebook CX34のプレミアムモデルだけは例外で「Core Ultra 5 115U メモリ 16GB」と爆盛り、その分お値段も14万円以上とかなり高価。どちらかというと企業や教員向けな意味合いが強く、個人で利用するレベルではないと思います。
ストレージについてはバラつきがあり、それがそのまま価格に転嫁されているといった状況です。「HP Chromebook Plus x360 14」がやや高く見えるのはコンバーチブルタイプであるからです。
この中で一番ややこしいのが「Acer Chromebook plus 514」で、アマゾンには4つのパターンで発売されています。ですが、ストレージを見ると1つが512GBで他3つが128GBなので、ストレージが一番大きなAcer Chromebook plus 514がおすすめです。
参考記事:ややこしい!アマゾンでAcer Chromebook Plus 514が4つ同時に販売中 選ぶべきモデルは? - Chrome通信
主要スペックだけをみると、性能と価格が比例していて、ある意味どれを選んでも正解です。
Chromebook plus 主要スペック以外の違い
主要スペックについては大きな違いはないのですが、より詳しく見ていくとこまごまとした違いが多々あります。それぞれ見ていきます。
形状とディスプレイ
現在販売されているChromebook plusは「ASUS Chromebook plus CM34 Flip」、「HP Chromebook Plus x360 14」の2つがコンバーチブルタイプで、後はクラムシェルタイプです。
14インチのChormebookをタブレット的に使うのは実用的ではないのですが、飲み物を飲みながら作業するときにテントスタイルにして外付けキーボードを使うと、飲み物をうっかりこぼしたときの被害を防ぐことが出来ます。
ディスプレイは今回挙げた機種すべて14インチのフルHDで、タッチスクリーンに対応しています。
グレアかどうかは機種により異なりますが、公式サイトなど探しても情報が見つからないものも。
とりあえずAcer Chromebook plus 514とASUS Chromebook plus CX34がノングレア、ASUS Chromebook plus CM34 Flipはグレアであることは確定です。
落下耐性や耐圧耐性など高い耐久性を示す米国国防総省の調達基準(MIL-STD-810H)に準拠しているかどうかは機種によりますが、HP以外は準拠しています。
モデル | 形状 | MIL-STD-810H | 重量 | 参考価格(2024.11.21) |
---|---|---|---|---|
Acer Chromebook plus 514 | クラムシェル | 〇 | 1.43kg | ¥69,100/¥73,329 |
ASUS Chromebook plus CX34 | クラムシェル | 〇 | 1.46kg | ¥68,000/¥140,727 |
ASUS Chromebook plus CM34 Flip | コンバーチブル | 〇 | 1.85kg | ¥74,800/¥86,182 |
Lenovo Chromebook Plus IdeaPad Slim 3i Gen8 | クラムシェル | 〇 | 1.5kg | ¥76,420 |
HP Chromebook Plus 14a | クラムシェル | × | 1.45kg | ¥98,271 |
HP Chromebook Plus x360 14 | コンバーチブル | × | 1.5kg | ¥110,000 |
重量はどれも1.5㎏程度ですが、ASUS Chromebook plus CM34 Flipのみ1.85㎏とやや重ためです。これはコンバーチブルであることが関係していそうです。
インターフェースとバッテリ持続時間
インターフェースも機種に依り細やかな違いがあります。
まず、microSDカードに対応しているモデルはASUS Chromebook plus CM34 Flip1つしかありません。SDカードは2-in-1を除くすべてのChromebookで対応していますが、Chromebook plusはストレージ容量が128GB以上なので不要ということかもしれません。
また、本体収納式スタイラスペンがあるのもASUS Chromebook plus CM34 Flipのみ。
USBはType-C、Type-Aの数は機種により違いますが、gen 3.2(転送速度5GB/s)であることは共通です。
Type-Cが2つあるのが基本なのですが、Lenovo Chromebook Plus IdeaPad Slim 3i Gen8のみ、Type-C1つという少し変わった形状になっています。ただ、このモデルにはHDMIポートがあるので、充電しながら外部ディスプレイへ出力することは可能です。HDMIポートがあるかどうかも購入前にチェックしておきたいところです。
参考記事:Chromebookを外部ディスプレイに接続する方法と使いやすくする設定を解説 - Chrome通信
バッテリ持続時間は10時間~11時間が標準ですが、Ryzenを採用したASUS Chromebook plus CM34 Flipのみ13.5時間と少しだけ長くなっています。
モデル | USB Type-C / USB Type-A | HDMIポート | バッテリ持続時間 | 参考価格(2024.11.21) |
---|---|---|---|---|
Acer Chromebook plus 514 | 2/2 | × | 約11時間 | ¥69,100/¥73,329 |
ASUS Chromebook plus CX34 | 2/2 | 〇 | 約9.5時間 | ¥68,000/¥140,727 |
ASUS Chromebook plus CM34 Flip | 2/1 | 〇 | 約13.5時間 | ¥74,800/¥86,182 |
Lenovo Chromebook Plus IdeaPad Slim 3i Gen8 | 1/2 | 〇 | 約11時間 | ¥76,420 |
HP Chromebook Plus 14a | 2/1 | × | 約11時間 | ¥98,271 |
HP Chromebook Plus x360 14 | 2/1 | × | 約10時間15分 | ¥110,000 |
Ryzen搭載のASUS Chromebook plus CM34 Flipを選ぶ理由があるとするとコンバーチブルタイプである点と最長のバッテリ持続時間。やや重ためなのはバッテリーそのものが大きいという可能性もあります。
今回紹介した Chromebook plus まとめ
今回紹介した機種それぞれの見た目とスペックをまとめます。
Acer Chromebook plus 514
Acer Chromebook plus 514の特徴は何といってもストレージ。512GBと圧倒的です。それでいて2番目に安い。非常にコスパに優れており、さすがacerといったところです。アマゾンで買うと保護スリーブがついているようです。
ASUS Chromebook plus CX34
ASUS Chromebook plus CX34の特徴は美しいホワイトカラー。この機種は非常に人気が高く、アマゾンでは入荷しては即売り切れ、という状況が続いています。欲しい方は早めに決断を。
ASUS Chromebook plus CM34 Flip
ASUS Chromebook plus CM34 FlipはChromebook plusとしては希少なコンバーチブルタイプのモデルです。同じコンバーチブルタイプのHP Chromebook Plus x360 14と比較した場合、300gほど重たいですがバッテリ持続時間は3時間以上長く、HDMIポートがあり、価格は3万円以上安いです。
また、本体収納式スタイラスペンがついている唯一のChromebook plusです。Ryzen 3 と Ryzen 5のバリエーションがありますが、長く使うならRyzen 5搭載機がおすすめです。
Lenovo Chromebook Plus IdeaPad Slim 3i Gen8
バランスの取れたChromebook plusという趣のLenovo Chromebook Plus IdeaPad Slim 3i Gen8。本体は2トーンカラー、プレイミアム感が漂う佇まいです。ベゼルにロゴがなく、うるさくないのもいいですね。
また、ホームエンターテインメントやビデオ会議に役立つWave Max Audio技術を搭載。デザインが気に入ったならアリだと思います。
HP Chromebook Plus 14a
HPらしく質感の高いモデルです。ストレージも256GBとゆとりがあります。
かなり前に発売されたHP Chromebook x360 14cとヒンジ部分のと筐体は共通のようです。実機を持っていますが、キーボードも適度な反発があり、打ちやすいです。
個人的に残念なのがロゴが元のやつに戻ってしまったこと。4本線のロゴ、好きだったんですが。肉厚で重厚感漂う佇まいが魅力的なモデルです。
HP Chromebook Plus x360 14
上記モデルをそのままコンバーチブルにしたモデル。背面のデザインは共通です。価格を考えるとコスパに優れているワケはないのですが、希少なコンバーチブルです。予算にゆとりがあればおすすめです。
「Chromebook Plus」のスペックは似たり寄ったり!? 深堀して見えてきた機種ごとの意外な違い まとめ
いかがだったでしょうか?
個人的に最もコスパに優れていると感じるのが「ASUS Chromebook plus CM34 Flip」。ちゃんと調べる前はあまり気に留めていなかったモデルです。コンバーチブルなChromebook plusでバッテリ持続時間も長く、¥74,800/¥86,182という価格は魅力的です。
Chromebook Plusの機種選びは、スペックだけでなく、形状、インターフェース、重量、バッテリー持続時間など、様々な要素を考慮することが大切です。この記事で紹介した情報を参考に、あなたに最適なChromebook Plusを見つけて、快適なデジタルライフを送ってください。