Chromebookはその手軽さから教育現場やビジネスシーンで急速に普及してきました。2024年は高性能化やデザインの多様化など、Chromebook市場が大きく変化した一年と言えるでしょう
この記事では年末ということで2024年のChromebookの動向をまとめ、来年への展望を記したいと思います。
Chromebook Plusが本格始動
まず今年のChromebookを語るうえで外せないのが「Chromebook Plus」の本格始動です。
Chromebook PlusはGoogleとChromebook主要メーカーが策定した要件を満たすモデルにつけられる認証で、一定以上の性能を保証する仕組みです。
これまでもハイスペックなChromebookは存在していましたが、Chromebook Plusのような認証システムはなく、あまり詳しくない方からすると少々分かりづらい部分がありました。そんな背景を元に登場したのがChromebook Plusです。
Googleが新しいカテゴリ「Chromebook Plus」を発表! ユーザーにとって何が変わる? - Chrome通信
GoogleのAI「Gemini」とも深く関連しており、Chromebook Plusは従来のChromebookにはない、さまざまなAI機能を搭載しています。いわば、Geminiの能力を最大限に引き出すための最適なデバイスがChromebook Plusと言えるでしょう。
AIとChrome OSの融合と進化
そんな経緯で誕生したChromebook Plusですが、最初の頃にやや遅れていたChromeOSのAIへの対応もすすみ、ようやくその本領を発揮しつつあります。
Chromebook側で処理をするため、被写体の拡大や縮小、位置の調整、写真の明るさや背景を変更できる「編集マジック」やビデオ通話での背景処理やノイズキャセリング、高画質化などの機能をオンラインを介さずとも使えるのが特徴です。ビデオ通話はGoogle MeetだけでなくZoomやSkypeにもこれら機能を適応することが可能です。
日本語にはまだ対応していませんが、文章入力サポート、文書読解サポート 、ビデオ通話のリアルタイム翻訳なども米国ではすでにサービスを開始していて、2025年中には日本語でも使えるようになる予定です。とくに文章入力サポートはGoogle DocやGmailの入力作業をGeminiが手伝ってくれるものです。本業の業務でよくGeminiのお世話になっていますが、現時点ではブラウザでGeminiのページ(?)を開いてそこで質問、回答をコピーして元のページでペースト、という作業の流れになっていますが、こんなことをしなくても1つのタブで完結するようになりそうです。
次にどんなAI機能が追加されていくのか、というのも2025年に期待したいところです。
Chromebookの市場動向 ハイスペックモデルと2-in-1 タブレット型Chromebookが人気
Chromebook Plusとの関連もあり、ハイスペックモデルが人気です。特に「ASUS Chromebook plus CX34」などはアマゾンでよく在庫を切らしていて、人気の高さがうかがえます。その他、13万越えの「ExpertBook CX54 Chromebook Plus(CX5403) 」なども人気があるようです。
Chromebook plus対応機種ですが、ASUSが先陣を切って他社が続き、Chromebook主要メーカー各社から販売されている状況です。一通り出そろった感じがあります。詳しくは下記記事をご参照ください。
Chromebook Plus徹底比較!スペックだけじゃない、選ぶべき機種の意外な特徴とは? - Chrome通信
ただ2024年では要件を満たせるCPUが非常に限られているため、スペックは似たり寄ったりになっています。2025年ではバリエーションがさらに拡充していくことでしょう。楽しみに待ちたい。
かつてGoogleが$1000のChromebookを出して散々バカにされていた時と比べると隔世の感があります。
また、昨年に引き続きタブレット型Chromebookは人気が高いです。かつてはAndroidアプリとの相性問題が取り沙汰されていたのですが、着々と対応が進んでいるようで、今ではほぼほぼ解決しているような印象を受けます。
息子がASUS Chromebook CZ1を使っているのですが、今のところ使えないゲームアプリはありません。現時点では「ASUS Chromebook Detachable CM3001」「Lenovo Chromebook Duet Gen9」の2択状態ですが、そろそろ新しい機種の登場も期待したいところです。
2025年 Chromebookの展望
ということで2025年特に注目したいポイントをまとめると
- Chromebook Plusがどう進化していくのか
- Chromebook Plusの機種拡充
- 小型ハイスペックモデルの行方とタブレット型Chromebookの高性能化
といったところ。①はすでに述べた通り、さらなるAI機能がChromebook Plusに追加されていくのは確実です。次にどんな機能が追加されていくのかしっかりとチェックしていきたい。
②は現状、似たり寄ったりのChromebook Plusですが、要件を満たすCPUも増えていくことでしょうし、それに合わせて各社少し差別化が進むと思われます。ここも2025年の注目ポイントです。
③ですが、少し詳しく解説します。
個人的に少し驚いたのが12月に入ってきた「Acer Chromebook Spin 312」のスペックについての情報です。Acer Chromebook Spin 312は米国ですでに発売している小型のChromebookですが、CPUにN305を搭載しているハイスペックモデルで、バッテリ持続時間が13時間となっています。
それがどうした?と思われるかもしれませんが、小型でハイパフォーマンス、というのは今までありそうでなかったChromebookです。
これまでの小型(かつての11.6型や最近の12.2型)Chromebookは総じて携帯性、とりわけバッテリ持続時間に重きをおいており、インテルのセレロンやメディアテックのSoC「Kompanio」シリーズなどが広く採用されていました。スマホやタブレット向きに開発されたKompanioは安価ながら省電力性に優れているチップですが、ハイエンドのCPUと比較するとパワーでは劣ります。まあ当然ですね。
そんななか、Acer Chromebook Spin 312は、Chromebook plusにも使われるパワフルな「Intel N305」を小型Chromebookに採用した初のモデルとなりました。注目のバッテリ持続時間は13時間と、これまでの小型Chromebookと同等かそれ以上のレベルです。つまりパワーと携帯性を完全に両立させた初のChromebookです。
ここへ来て登場した理由は、もちろんAcerの技術ありきですが、インテル CPUの進化によるものです。従来のチップは省電力性に優れる=性能で劣る、というトレードオフがありましたが、「省電力性に優れる&性能が高い」CPUが登場し、これまでのチップの完全に上位互換となっています。
もちろんコストの問題がありますので、売れるかどうかは別問題。Acer Chromebook Spin 312が受け入れられるか、それとも短命に終わるかどうか、見ものです。大きく成功するようであれば他社から似たようなChromebookが出てくることでしょう。ただし、見た感じでは$449.99とかなり競争力のあるモデルに見受けられます。
その流れからタブレット型ChromebookにもハイエンドのCPU搭載機が出てくる可能性はなきにしもあらず。注目していきたい。
2024年Chromebook市場の動向と2025年の展望 まとめ
2024年はChromebookがさらに進化を遂げた年でした。高性能化、デザインの多様化、そして、新たなOS機能の追加など、ユーザーの期待に応える多くのモデルが登場しました。2025年もChromebook市場はますます活況を呈することが予想されます。
来年もChrome通信をよろしくお願いいたします。