MediaTekは2025年4月2日、高性能 AI Chromebook を新たなレベルに引き上げるKompanio Ultraを発表しました。
Kompanio Ultraはスタイリッシュで薄型のChromebook向けに設計されており、動作温度が低く、放熱ノイズが少なく、持ち運びが軽く、ユーザーエクスペリエンスを総合的に向上させるものとしています。
同社によると「Kompanio Ultraは新世代のChromebook Plusに優れたAI機能、強力なパフォーマンス、優れたエネルギー効率を提供する」とのことです。
Kompanio Ultra 概要とスペック
今回発表された「Kompanio Ultra 910」ですが、チップ構成はオールビッグコアのオクタコア構成となっています。
- Arm Cortex-X925 (最大3.62GHz)× 1
- Arm Cortex-X4 × 3
- Arm Cortex-A720 × 4
特に、最大3.62GHzのメイン周波数を備えたArm Cortex-X925の超大型コアを搭載しており、強力なシングルスレッドおよびマルチスレッドパフォーマンスを発揮します。これにより、ビデオ編集、コンテンツ作成、高解像度ゲームなどの負荷の高いアプリケーションにおいて、スムーズで低遅延な体験を提供しつつ、省電力性も実現しているとのことです。
参考までに、Google Pixelシリーズに搭載されているGoogle Tensor G4の構成は以下の通りです。
- Arm Cortex-X4 (3.1GHz) × 1
- Arm Cortex-A720 (2.6GHz) × 3
- Arm Cortex-A520 (1.92GHz) × 4
構成を見る限り、Kompanio Ultra 910が圧倒的に上回っている印象です。
GPUには、ARM社のフラッグシップである「Arm Immortalis G925」を搭載し、レイトレーシングなどのゲーム向け機能も強化されています。
Kompanio Ultra ベンチマークテスト結果
同社のテストでは、Geekbench 6 シングルコアで「2600」、マルチコアでは「8000」をマークしています。
これに近いスコアを持つものとしては、シングルコア/マルチコアが 2395 / 8772 の「Apple M1 3196 MHz (8コア)」や、2074 / 8017 の「Intel Core Ultra 5 125U 1300 MHz」などが挙げられます。
また、現行の Chromebook Plus に多く採用されている Intel N305 のスコアが、シングルコアで 670~1427 程度、マルチコアで 3336~6964 程度であることを考慮すると、今回発表された Kompanio Ultra は「Chromebook Plus」の要件を十分に満たすものと考えられます。
Kompanio Ultra その他の特徴
動画は4K/60fpsに対応しています。画面出力に関してはマルチスクリーンディスプレイをサポートしており、2台の外部4Kモニターに対応しています。
AI機能としては、MediaTek NPU 890を搭載。最大50 TOPSのAIパフォーマンスと高品質なデバイス内画像およびビデオ生成に対応するほか、NPUがCPU/GPUの負荷を軽減し、処理速度と電力効率を向上させるとのことです。
また、高度なHi-Fiオーディオ処理テクノロジーもサポートしており、高精細な音声通話と臨場感あふれるサウンド体験を提供します。
プロセスルールは、第2世代TSMC 3nmプロセスを採用。これにMediaTekの業界をリードする電力制御の専門知識を組み合わせることで、これまで以上に高いミリワットあたりのパフォーマンスを実現し、一日中持続するバッテリー寿命を実現したとのことです。
GPUには、Armの第5世代G925を採用。この11コアグラフィックエンジンは、従来のグラフィックパフォーマンスとレイトレーシンググラフィックパフォーマンスの両方の向上に優れており、電力使用量を削減し、視覚効果を強化し、これまで以上に長い時間、ゲームプレイのピーク速度を維持するとのことです。
通信に関しては、Kompanio Ultraは最大7.3GbpsのWi-Fi 7をサポートするほか、デュアルBTエンジン搭載のBluetooth 6.0をサポート。きわめて高速なワイヤレス速度とより広い信号範囲を実現するとしています。
Kompanio Ultra まとめ
MediaTek社の「Kompanio Ultra」は、Chromebook Plusの性能を飛躍的に向上させる可能性を秘めた、まさにゲームチェンジャーとなるプロセッサです。
これまで以上に快適な動作、高度なタスク処理能力、そしてバッテリー持続時間の向上により、Chromebook Plusはさらに魅力的なデバイスとなるでしょう。
今後のKompanio Ultra搭載Chromebook Plusの登場にますます目が離せません。