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進化した内蔵グラフィックとSteamが「ゲーミングChromebook」の立ち位置を変える2023年

2023年1月8日

進化した内蔵グラフィックとSteamがゲーミングChromebookの立ち位置を変える

はじめまして、Chromebookを9年以上愛用しているクロームブッカーともぞう(@tomozou3500)です。このブログではChromebookについての情報を発信しています。

今回は「ゲーミングChromebook」に関する話題です。

現時点ではChromebookでできるゲームはXbox Game Passなどのクラウドゲーミングで、「ゲーミングChromebook」と言ってもクラウドゲーミング専用機としての意味なのですが、2023年ではそれが変わり、ゲーミングChromebookが本当の意味でのゲーミングPCになるのではないか、というのが今回のテーマです。

「ゲーミングChromebook」の幕開けとなった2022年

Photo of person typing on computer keyboard
Photo by Soumil Kumar on Pexels

去年から「ゲーミングChromebook」を冠するモデルが立て続けに発表されています。

 昨年末は『Lenovo IdeaPad Gaming Chromebook』や 『ASUS Chromebook Vibe Flip CX55』が発表され、後者は既にアマゾンで販売中です。

直近では『ASUS Chromebook Vibe Flip CX34』が発表されています。

Chromebookでのゲームは過渡期

とはいえ、現在の「ゲーミングChromebook」はまだ過渡期にあります。

「ゲーミングChromebook」と言ってもWASDキーの色が違う、リフレッシュレートが120Hzになっている、同時キー入力に対応している程度で、あくまで現行のChromebookを少しアップグレードしたものにとどまっているものも多かったのが去年までの流れになっています。

これには背景があり、現在Chromebookでプレイ出来るゲームは、Xbox Game PassやNVIDIA GeForce Nowなどに代表されるクラウドゲーミングサービスで提供されるものに限定されていて、一般的な意味でのゲーミングPCという訳ではありません。

GoogleのStadiaはサービス終了となりました。一方、Amazon Lunaというクラウドゲームサービスは海外ではスタートしています。

クラウドゲーミングの大きな特徴は、処理をクライアント(ユーザー)側ではなくサーバー側で行う点。要するに、最低限のスペックのPC(Chromebook含む)があれば、4K/120fpsクラスのゲームが動くということ。

つまり「ゲーミングChromebook」でもクラウドゲーミングサービスを快適にプレイすることが可能です。こういったゲーミングChromebookは既にAmazonでも入手可能です。

日本では未発売なのであまり知られていませんが、NDIVIA GeForce Now専用機のNDIVIA Shieldという「NVIDIA GeForce Now」専用デバイスも海外では発売されています。

今年Steamが満を持して登場 し、「ゲーミングChromebook」は真の意味でゲーミングPCになり得る

かなり以前から噂のあったSteamのChromebook対応ですが、昨年ベータ版へ移行しており、今年中に正式にリリースされると思われます。

かなり以前(5年程度前)から待望されつつ、なかなか実現しなかったChromebook版Steamの話が急に現実的になったのには、明確な理由があると思っています。

それがハードウェアの進化です。結論から言うと内蔵グラフィックスの進化です。

一般的なゲームPCと現在のChromebookの決定的な違い

ここで少し一般的なゲームPCについて説明しておきます。

以前より、PCでゲームをするならゲーミングPCが必須と言われています。

これはある意味正しいのですが、ではゲーミングPCと普通のPCの違いはどこにあるかというと、最も大きな違いはグラフィックカードの有無

現在はCPUにグラフィック機能が内蔵されており、普段使いで特に意識することも不便を感じることもありませんが、ゲームとなると性能不足が顕著になります。ゲームは内蔵のCPUのグラフィック処理能力では荷が重すぎる。Core i4770でもFF14のfps(秒辺りのコマ数)が「4fps」等になって、とてもまともにプレイ出来たものではありません。そこでグラフィックカードという部品でグラフィック性能をカバーしてゲームを快適に遊ぶという訳です。

あまり馴染みがないですが、内蔵グラフィックスを持たないCPUもあります。Core iシリーズも初代は内蔵グラフィックスがなく、別途グラフィックカードを用意する必要がありました。

排熱効率を高めるためにケースが大きかったり、グラボの補助電源がついていたり、冷却パワーが高いファンが使われていたり、電力容量が大きかったりとゲーミングPCにはゲームを快適にプレイできるよう様々な特徴がありますが、ゲーム体験を直接かつ一番大きく左右するのがグラフィックカードの存在で、通常のPCでもグラフィックカードさえ足せばそこそこのクオリティでゲームを楽しむことができます。

なお、いわゆるゲーミングノートPCにもグラフィックカードの核となる部品(GPU)が組み込まれています。NVIDIA GeForce RTX 3050という高性能のグラフィックカードを内蔵しています。ゲーミングノートPCの価格が一般的なPCに比べて高価なのはこの辺りも理由です。

という訳で、GPUを持たないこれまでのChromebookでは性能的にゲームはきつい。たとえSteamが早々にChromebookに対応していたとしても、とてもまともにプレイ出来るものではなかったと思います。

そんな状況に変化の兆しがありそうなのが今年。

CPUの内蔵グラフィックス性能が「快適にゲームできる」レベルまで向上

なんだか大げさな書き方になってしまいましたが、要するに技術進化で内蔵グラフィックスでも、ローエンドのグラフィックカードくらいの性能は出るようになる、というのが今年。クラウドゲーミングだけではなく、SteamゲームがChromebookでも楽しめる時代がすぐそこまで来ています

もちろん「重いゲームがフルHDでヌルヌル動く」わけではありませんが、解像度や画質を落とせば、どんなゲームもそれなりに楽しめる感じになるのは予測がつきます。

私自身、少し前まで「Windows 10、第4世代Core i7(4770)、RAM 16GB、NVIDIA GeForce GT1030」という環境で、古いCPUに一番安いグラフィックカード(当時1万円程度)でSteamゲームをやっていましたが、解像度を下げないとキツかったのは『Nier Automata』と『モンスター ワールド』くらい。FF14やテイルズオブアライズ、ドラクエ11、アトリエシリーズなどは普通に遊べるレベル。

実際、先日発表された『ASUS Chromebook Vibe Flip CX34』ではCPUに「Intel Core i5-1235U」を搭載。内蔵グラフィックスは「Intel Iris Xe」となっています。

Intel Iris Xeで「ファイナルファンタジー 14 暁月の終焉」のベンチマークを計測すると

このCPUを採用した機種において、「ファイナルファンタジー 14 暁月の終焉」のベンチマークでまずまずのスコアが出るようです。

上記サイトによると標準品質で計測した結果は

スコアは4689(普通)、平均フレームレートは32 fpsでした。

Core i5-1235Uのベンチマーク - the比較

とのこと。いまいちピンと来ないと思いますが、以前同じテストを拙ブログでもグラボなしで試したことがあります。

CPUは第4世代の「Intel Core i7-4790」、RAM 16GB(DDR4)で、解像度を1280x720 まで落としてようやくSCORE:2365、平均フレームレート:15.7fps(最高品質のテストではfps4.47の衝撃)。
Core i5-1235Uのベンチマーク - the比較」のテストではフルHDでやった結果ですが、フルHDでfpsが30を超えるとPS3並のグラフィックということになります。

また、上記のベンチマークの情報と私調べの情報▽を照らし合わせると、内蔵グラフィックス「Intel Iris Xe」はNVIDIA GeForce GT1030に匹敵する性能を有するという結論になります。

無論、歴史が長いWindowsのベンチマークスコアがいいからと言って、必ずしもそれがそのままChromebookに当てはまる訳ではないことは重々承知ですが、少なくともハードウェア面では実用上、問題がなさそうです。

余談になりますが、Steamで販売されるゲームはFinal Fantasyの旧作などシステム要件が低いものも多く、こういったゲームなら必ずしも高スペックのグラボが必要という訳でもないです。

一方、Steamを開発しているValve社にしてみれば、世界中のChromebookに慣れ親しんでいる子供たちは、人数・ライフタイムバリューが共に高い非常に魅力的なターゲットのはずなので、本気度MAXでChromebook対応してくると思います。

Steamのロゴ

最後に、クラウドゲーミングとSteamゲームですが、これらはどちらがいいというものではなく、それぞれメリットとデメリットがあります。

クラウドゲーミングは初期費用なしで高画質のゲームが楽しめるのがメリットで、月額料金がかかるのがデメリット。ゲーミングPCでのゲームは月額料金はいりませんが、かなりの初期費用を要するのがデメリットです。ゲームは別途買う必要があるのは共通です。

GeForce Nowのデメリットとして「遊べるタイトルがSteamに比べると少なめ」としていましたが、GeForce NowはUbisoft、Epic、Steam所有のゲームが遊べるそうです。これなら遊べるソフトは無限大

第12世代CoreシリーズとSteamが「ゲーミングChromebook」の立ち位置を変える2023年 まとめ

2023年はクラウドゲーミング専用機としてのChromebookからSteamゲームもプレイ出来るChromebookへと進化しそうです。

さらにはNVIDIA製GPUを搭載したChromebookが開発中との話もあり、Chromebookでのゲーミングはますます未来が開けています。

楽しみにしつつ事態を注視したい。

  • この記事を書いた人

ともぞう

つくば在住のアラフォー会社員。他に「初心者による初心者の為のウイスキーの話など。」や「OLD ROOKIE」などを運営しています。

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