はじめまして、Chromebookを9年以上愛用しているクロームブッカーともぞう(@tomozou3500)です。このブログではChromebookについての情報を発信しています。
今回はChromebookのCPUに関する話題です。
Chromebookに採用されるCPUは通常のノートPCでも採用されているIntel製を採用したモデルもありますが、小型のChromebookでは性能は控えめながら省電力性に優れたMediaTekやSnapdragonなど、主にタブレットやスマホでの使用を想定したチップ(SoC:システム オン チップ)が採用されることがあります。
SoCを採用するメリットとしては省電力性を高めてバッテリ持続時間を伸ばし、持ち運んで使う際の利便性を確保できる点にあります。「Acer Chromebook Spin 311」や「Kenovo IdeaPad Duet Chromebook」などのモデルがMediaTek製のSoCである「MediaTek 8183C」を採用しています。このチップを採用しているモデルは多いのですが、このチップが登場したのは去年の話なので、少々古くなってた感じは否めません。
そんな「MediaTek 8183」の後継となる「MediaTek 8186」が現在開発中とのことです。今後はChromebookへの採用も見込まれるため、性能や特徴を見ていきたいと思います。
新型のSoC「MediaTek 8186」の特徴
現行の「MediaTek 8183」はARM社のCortex-A73コアとCortex-A53コアが各4つのオクタコア構成ですが、この度Chrome UnboxedがChromium Gerritで発見したコードによると、新型となる「MediaTek 8186」では高性能なCortex-A76が2つ、スモールコアのCortex-A55が6つのオクタコア構成になっています。
Mediatek 8183 | Mediatek 8186 | |
ビッグコア | Cortex-A73 x4 | Cortex-A76 x2 |
スモールコア | Cortex-A53 x4 | Cortex-A55 x6 |

この手のチップはパワフルな処理能力を持つ「ビッグコア」と省電力性に優れた「スモールコア」を組み合わせており、アイドル時や負荷の低いときには「ビッグコア」を休ませることで省電力性を高め、必要な時に「ビッグコア」を稼働させることでパワーと省電力性を両立させています。
今回の「MediaTek 8186」 も「MediaTek 8183」と同じ「ビッグコア」+「スモールコア」構成ですが、まずそれぞれのコアがアップデートされており、性能が底上げされています。
また、構成はオクタコアであることには変わりありませんが、より省電力性に優れた(その分性能は控えめである)スモールコアの数を6つに増やしつつ、ビッグコアの数を2つに絞っています。
察するにビッグコアに当たる「Cortex A76」は十分なパワーがあり、高負荷時でも2つあればそこそこのパフォーマンスを発揮でき、スモールコアを多くすることで並列処理の向上と省電力性をさらに高める、という狙いがありそうです。
となると、MT8186を搭載したChromebookの場合、Acer Chromebook Spin 311を超える15時間以上のバッテリ持続時間の実現も可能です。
パワー的には現在54,800円で販売されている「ASUS Chromebook Flip CM3」に搭載されているMediaTek Kompanio 820と近いとのこと。
今後のスタンダードとなるMediaTek 8186 まとめ
新型の「MediaTek 8186」でもおそらく価格はT8183からそう変わりないはずなので、今後販売されるエントリーモデルではこのチップを搭載するモデルが増えるでしょう。現行のモデルと比較してパワーや省電力性が増すことになりそうです。
また、並列処理やAndroidアプリの安定性という点でも利点がありそうです。
ビッグコア4つの「ASUS Chromebook Flip CM3」は公称ではありますが、既に15時間のバッテリ持続時間を実現。単純に考えてもこれより長いバッテリ持続時間となりそうです。
これまでの流れから推察すると「Acer Chromebook Spin 311」がいち早く、モデル名はそのままで中身が「MediaTek 8186」採用機にアップデートされそうです。楽しみにしつつ推移を見守りたい。