はじめまして、Chromebookを9年以上愛用しているクロームブッカーともぞう(@tomozou3500)です。このブログではChromebookについての情報を発信しています。
Chromebookにも多く採用されているSoC「8183C」を製造しているMediaTek社の新SoC「MediaTek Kompanio 828」の初期ベンチマークが公開されたのですが、想像よりも遥かに高性能であることが分かりました。
競合であるクアッドコアのIntel Celeron N5100をあらゆる側面でぶっちぎっています。Intelはきっと戦々恐々たる思いをしていると思います。
詳細を見ていきたいと思います。
MediaTek Kompanio 828とは
「MediaTek Kompanio 828」は、Chromebookに広く採用されているチップである「MediaTek 8183C」の進化版です。
「Kompanio 828」はMediaTekの最新のSoC(System on a Chip)であり、2つのCortex-A78コアと6つのCortex-A55コアを搭載しています。
また、Arm Mali-G57 MC2グラフィックスとMediaTek APU(Artificial Intelligence Processing Unit)も搭載しています。これにより、高度なAIタスクやグラフィックスタスクを実行する際に優れたパフォーマンスを発揮することができます。
ネットワークに関しては「Kompanio 828」は5G接続をサポートしており、最大7.5 Gbpsのダウンロード速度を実現することができます。また、Wi-Fi 6 /Bluetooth 5.2をサポートし、高速かつ安定した接続を提供します。
さらに高度なセキュリティ機能も搭載しており、データの保護やプライバシーの確保にも対応しています。
まさに万能といった感じの次世代SoC、それが「Kompanio 828」です。
Kompanio 828の性能
このたび公開された動画によると、MediaTek Kompanio 828は競合である「Intel Celeron N5100」と比べて、あらゆる面で優れたチップであることが示されています。
まず処理能力を測るGeekbenchスコアにおいて、シングルコアの性能比はKompanio 828(627)がN5100(572)より+9.6%と微増に留まるものの、マルチコア性能ではN5100の1462に対してKompanio 828が2210と約51%上回る結果になりました。
Intel N5100自体あまり聞きなれないため、現在ポピュラーなMediaTek 8183、およびIntel N4000シリーズを比較したのが下の表です。Geekbench R23ベンチスコア(中央値)を参考にしています。
一番右端が現在プレミアムモデルに搭載されている第10世代のCore i3です。
これを見ると、N5100はCeleronと言えども、マルチコアのベンチではCore i3に迫る性能であることが伺えます。そして、「Kompanio 828」がN5100と比較して性能比が151%ということであれば、MediaTek Kompanio 828は少なくともマルチコアのベンチではCore i3を上回る可能性を秘めています。
MediaTek Kompanio 828は処理能力だけでなく、他にもグラフィック性能、バッテリ持続時間、マルチタスク性能すべての面でIntel Celeron N5100を上回っています。
グラフィック性能を示すGFXBench Manhattan 3.0では+52.3%、輝度を80ニトにして動画を流し続けるバッテリーテストでは、Kompanio 828の方が解像度が上であるにもかかわらず駆動時間では+51.3%と圧倒的に上回っています。
さらにマルチタスク性能ではGoogle Meetを使いながらCADプロジェクトを開くまでの時間を計測するテストでもN5100が38秒かかったのに対してKompanio 828は22秒で終了。
3DのFPSゲームでは30fpsを出すのがやっとのN5100に対してMediaTek Kompanio 828の方はおよそ60fpsで安定しています。画面の滑らかさに明らかな差があります。
MediaTek Kompanio 828があらゆる面でIntel N5100を上回る まとめ
そんなKompanio 828ですが、既にAcer Chromebook 514で採用されることが決まっています。事前の情報ではバッテリ持続時間が15時間、価格が$399からとなっています。Core i3以上の性能でこのバッテリ持続時間、かつ値段もかなり安い。
Intel Coreシリーズ採用機は、性能が高い反面、バッテリ持続時間が良くて8時間程度、価格も高い傾向にあるので、Kompanio 828に間違いなく分があります。
さらにARM系のチップなので、Androidとの相性もよさそう。間違いなくゲームチェンジャーとなりそうです。